第4回「発酵のサイエンスカフェ~ふなずしあれこれ」レポート

7月23日(土)、第4回吹田サイエンスカフェが、関西大学正門前のイタリアンレストラン「ボルカノ」で開催されました。

今回は発酵がテーマで、「ふなずしあれこれ」と題して、滋賀大学の堀越昌子先生(実は、吹田サイエンスカフェ塾長の知り合い、先生は幼き頃の塾長をよく知っていらっしゃいました)にお話をいただきました!
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人数が、13人だったので、先生にも質問しやすく、みんな和気藹々と、楽しい時間を過ごせたはず☆
 
さてさて、「ふなずし」とは、「なれずし」の一種だそうです。「なれずし」とは、魚肉や獣肉などをデンプン質のもの(≒米)で発酵させた漬物のことで、「ふなずし」は、ふなを米で発酵させたものです。この「なれずし」という文化は、日本~東南アジアのアジア・モンスーン地域特有の文化です。この地域は、気温が高く、雨が多いのが特徴で、①米が取れること、②世界の淡水魚の過半数が棲んでいることが、「なれずし」文化の発展に寄与しました。

昔は、冷蔵庫なんてありませんでしたから、「なれずし」は、魚の保存には、欠かせない加工法でした。

ちなみに、「なれずし」は、元々大陸起源で、日本には、稲作の伝播と同じ時期に伝わったそうです。

次に、「ふなずし」の作り方について。
まず、2~4月、新鮮なふなを塩づけにします。そして、2ヶ月くらい経って、塩を取り、干して、ご飯で漬けます。半年くらい経つと完成です!
funazushi_slide.jpg 美しい盛りつけのふなずし

ちなみに、塩の量/ご飯の量/温度によって、「ふなずし」の発酵スピードが変わるみたいです。たとえば、塩の量が多いと、発酵はゆっくり進み、逆に塩の量が少ないと、発酵は早く進むそうです。

あと、「ふなずし」のにおいは、酢酸によるものだそうです。でも、最も多い成分は、乳酸だそうです(乳酸には、ほとんど臭いはないみたい)。この乳酸は、自然発生的に沸いてきた乳酸菌が、作り出したもののようです。わざわざ乳酸菌をまいたりしなくても、自然に乳酸菌が付着するみたいです…というか、その辺(空気中)にウジャウジャいるみたい(それが、このアジア・モンスーン地域の特徴なのです!)

今日は、「なれずし」の試食ということで、「ふなずし」と「ウグイずし」を試食しました。臭いは、「チーズ」っぽいかな?!初心者は、「ウグイずし」の方が食べやすいかも。卵も結構おいしい(「ふなずし」はメスの方が高級らしい)☆大人にとっては、お酒のつまみですな~(誰だ?昼からビールやワインを飲んでいるやつは!!)
funazushi_dish.jpg お手製のふなずし

日本の「なれずし」は、特に琵琶湖周辺で発達しました。琵琶湖には多くの淡水魚がいるので、今回のふな・ウグイに限らず、はす・こい・もろこ・あゆ・おいかわ・びわます・なまず・どじょうなど、いろいろな物を漬け込んでいるみたいです☆
oikawazushi.jpg 先生いちおしの「おいかわずし」

もともと、「なれずし」は西日本一帯で漬けられていました。それが、時代の変遷とともに、今の「寿司」が主流となり、昔ながらの発酵食品としての「」は、地域(特に琵琶湖周辺)の特産品となりました。祭りや結婚式の時の、お祝い料理として食べられることが多いのですが、一方で、特に小さい子が日常生活で食べる機会が少なくなりました。

ある調査によると、10代の人々で、「『ふなずし』が好き」という人は0%でした(これは残念!)。「ふなずし」嗜好の「少子高齢化」はここでも進んでいるみたいです。

でも、「ふなずし」を含めた「なれずし」文化は、日本独自の文化。これを失うのはもったいない!伝統を若い世代に伝えていくことが、今後の課題と言えそうです。

なお、アンケートの意見として、「シュールストレミング」(ニシンを塩漬けにして、缶の中で発酵させたもの、おもにスウェーデンで食べられている)をみんなで食べてみたいという意見がありました。

今度は、「発酵食品・古今東西」というテーマで、サイエンスカフェをしてみてもいいかも★……場所の確保どうするんだ!!!


  • 最終更新:2011-07-24 20:37:30

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