第3回「国際しじみカフェ “食卓のシジミを取り巻く実況”」レポート

第3回すいたサイエンスカフェは、2011年1月8日(土)「国際しじみカフェ “食卓のシジミを取り巻く実況”」と題して開催されました。
話題提供者として、大阪国際大学の安木新一郎先生をお迎えし、「しじみ」についてお話をしていただきました。

cafe3_yasuki-san.jpg「しじみ」に詳しい経済学者、安木先生


当日は、安木先生のお話を伺うだけでなく、利きしじみも行ってみようということで、会場となりました吹田市山手地区公民館の調理場にて参加して下さった方々としじみ汁やおにぎりを作りました。

cafe3_shijimijiru.jpg cafe3_onigiri.jpgサッカーボールおにぎりも登場


安木先生がご用意して下さったしじみの種類は、①ロシア産、②宍道湖(島根)産、③瀬田(滋賀)産の3種類でした。まず、ロシア産のしじみですが、これは大ぶりで黒色が一番濃く、味も他の2種類のしじみとかなり違うというのが感想です(後味が強く残るように思いました)。殻の内側が紫色なのが瀬田産のしじみです。宍道湖産瀬田産のしじみは、ロシア産に比べて小ぶりで色は薄め、味は淡泊で食べやすいと感じました。そして、利きしじみの結果、瀬田産のしじみが美味しいと人気でした。宍道湖産のしじみも人気で、日本産のしじみが食べ慣れているせいか美味しいと感じる方が多かったです。

cafe3_seta-shijimi.jpg cafe3_chori.jpg
(左)殻の内側が紫色なのは瀬田シジミ


ただ、日本では生息地の減少と共に、しじみ漁に携わる方の高齢化の影響もあり、しじみの国内生産量は年々減少しているという現状を知りました。一方で、ロシアでは日本への輸出用にしじみ漁が行われるようになり、ロシア産のしじみが日本のスーパーで急増しているそうです。ロシアでしじみを日本へ輸出しているのは一つの企業でロシア沿岸地方を代表する水産企業となっているそうです。

ロシア産のしじみの輸入量は増加しているそうですが、中国や朝鮮半島からの輸入量は激減し、総じてしじみの輸入量は年々減少しつつあり、しじみが食卓に並ぶ回数が少なくなっているという生活背景があるのだなと分かりました。食文化の変化、環境の変化によりしじみを取り巻く状況が変わってきているようです。

消費は減少していますが、しじみに含まれている「オルニチン」の薬効が注目されているというお話も出ました。お酒を飲み過ぎた時に、しじみのお味噌汁を飲むと二日酔いが楽になるのは「オルニチン」の効果だというのはテレビなどでご覧になった方も多いかもしれません。

cafe3_kikisijimi.jpg みんなで効きしじみ


また、この日は吹田市を盛り上げよう!と活動されている「すいたまん塾」の方からピロシキの差し入れがありました。揚げたピロシキではなく、お焼きのように焼いて作るピロシキで、当日、公民館にて手作りのピロシキを焼いて下さいました。「すいたまん塾」特製のピロシキはスパイスが効いていて、とても美味しく、あっという間になくなりました。「すいたまん塾」では料理教室などのイベントの開催や食べ物市への出店などの活動をされています。親子すいたまん教室などもあるそうです。

cafe3_suitaman1.jpg cafe3_suitaman2.jpg
差し入れのピロシキ...「すいたまん」の袋にいれてもらいました


安木先生のしじみやしじみにまつわるロシア経済のお話を伺いながら3種類のしじみ汁を堪能し、特製ピロシキをいただき、第3回すいたサイエンスカフェは充実した内容にて終了しました。

余談ですが・・・サイエンスカフェ後のお茶の席でのお話を1つ・・・。安木先生はしじみについて経済の側面から調べているだけでなく、実際にしじみを水槽で飼っていらっしゃるそうなのですが、なぜか群れたがるしじみと1匹で過ごすしじみに分かれるというお話を伺いました。気のせいかと思い場所を変えてみても、集まっていたしじみはいつの間にか何匹かで集合し、1匹でいたしじみは他のしじみから少し離れた場所に移動するのだそうです。しじみにも個性があるのだなと驚きました。ちなみに水槽で飼っているしじみのえさは「豆乳」だそうです。これにも驚きましたが、豆乳で問題なく育っているというお話でした。なんとなくしじみに愛着を感じた1日となりました。


  • 最終更新:2011-01-29 19:25:45

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード