第8回「いいまちづくりのサイエンス」レポート

いいまちづくりのサイエンス(2012.1.21開催)

第8回すいたサイエンスカフェは、大阪人間科学大学 環境・建築デザイン学科特任教授の片寄俊秀先生をお迎えして開催しました。

「いいまちづくりのサイエンス」と題して、片寄先生は下記のような多彩なテーマでお話をして下さいました。

1.いいまちって、どんなまち?
2.千里ニュータウンの話
3.安心・安全なまちを求めて
4.「いいまち」を探す旅
5.いいまちづくりの目標像「花鳥風月のまち」
6.うま酒を求めて

「いいまち」って、どんなまち?と突然問われたら、あなたはどう答えますか?
災害から安全なまち、泥棒やひったくりのないまち(治安のよいまち)、物価の安いまち、おいしい空気と水のあるまち、教育・文化・環境・コミュニティなどの要素が充実しているまち・・・などなど、みんなまったく違うことを考えているから面白いですね。そう、「いいまち」を一言で定義することはできないのかもしれません。

そして、片寄先生は、千里ニュータウンの開発にも参加されたということで、当時のお話を伺うことが出来ました。
千里ニュータウンは吹田市にありますが、「千里市」という市を作る構想もあったとのこと。そのお話に大規模な計画だったことを改めて感じました。用地の買収や宅地造成、水道設備の整備、そして車がなくても生活が出来るまちづくりという点にもこだわり、千里ニュータウンが誕生したことが分かりました。
計画段階では、理詰めで「いいまちづくり」を追求したわけですが、いま千里ニュータウンの評価が高いのは、その上にお住まいになられた方々の努力が実って、ようやく「いいまち」に育ってきたからだと思いました。

「いいまち」を探しての旅では、全国各地の伝統的な町並み探訪のお話や、築後100年を超えたロンドン郊外の「Letchworth」という世界最初のニュータウンのお話もありました。都市の良さと農村の良さを結びつけた、いまでは見事に成熟した田園都市で、片寄先生のお話を伺って、ぜひ訪れてみたい気持になりました。


お話の中で、「良きまちづくり人を育てるために」・・・ということで、「まちづくり道場十訓(案)」として素敵な文章をご紹介下さいました。

まずは、まちに飛び込むこと。師は、地域そのものであり、そこにお住まいの方々である。
足元を固め、わが町を体内に取り込む。比較のための原点を持って外の世界をシビアに見よ。
地域やまちの宝ものを掘ること。本気でさがせば宝の山は必ず見つかるものなのだ。
痛みや禍(災)を福に転ずべきこと。苦しみを逆バネに、明るい未来を展望しよう。
努力してほんもののキイパーソンに学ぶこと。よき人のネットワークを自ら構築してみよ。
うまい対案を考えることはつねに重要だ。単なる「反対」は何も生み出さない。
苦しくても人まねはだめ、他人のアイディアにもひねりを加えて独自の展開を試みよ。
内に秘められた芽を見つけて、それをじっくりと育てること。見つけるには眼力がいるぞ。
理屈だけでなくイメージをかたちに示すことも重要だ。ビジュアルな表現力を身につけたい。
いい言葉で、まちを語るべきこと。言葉には人を感動させ、結集する力がある。
(片寄俊秀著『まちづくり道場へ、ようこそ』所収)


一つ一つの言葉に納得し、片寄先生のような素敵な方がいらっしゃることが、いいまちの大事なエッセンスだなと感じました。

吹田在住の参加者の方もいらっしゃいましたので、地元のまちづくりについての質問もたくさん飛び出し、充実した会となりました。

お忙しい中お越し下さった片寄先生、参加者の皆様、楽しい時間をありがとうございました。


追伸:サイエンスカフェにも素敵な文章をよせていただきました→サイエンスカフェとは? (by ブワナ・トシ)


  • 最終更新:2012-02-17 00:17:47

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